儂は、EOS VR Utilityに振り回されたのじゃ

儂がEOS R50 Vを購入したのが2025年6月のこと。じゃが、RF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYEを手に入れたのは、その年の10月じゃった。
なぜ一緒に買わなかったのかと言えば、2025年秋リリースのvisionOS 26と、APMP対応の「EOS VR Utility」の登場を待っておったからなのじゃ。

APMP(Apple Projected Media Profile)とは、180度や360度のイマーシブ映像を、Apple Vision Proでより手軽かつ高品質に扱うための新しい標準規格じゃ。
この形式で出力されたファイルなら、Apple Vision Proで開くだけで即座に没入感あふれる「イマーシブビデオ」として再生される。この環境が整うのを、儂は首を長くして待っておった。おかげで短い首が伸びてしまったわい。

実は、10月時点でEOS VR Utilityが本当にAPMPに対応したのか確証はなかったのじゃが、6月のWWDCで「対応予定」と発表されておったゆえ、待ちくたびれた儂は大枚を叩いてレンズを購入した。
家に帰って早速撮影した映像をEOS VR Utilityに読み込ませ、エクスポート画面を開いたのじゃが……。
出力形式の選択肢に「APMP」の文字がどこにもないのじゃ!

すでにInsta360 Studioなどの他社アプリではAPMP出力が選べるようになっておるのに、最新版をインストールしたはずの儂のEOS VR Utilityには、影も形もない。キヤノンがまだ対応版を出しておらんのかと、この時は途方に暮れたものじゃ。

ちなみに、Insta360で撮った360度映像をAPMPで書き出すと、Apple Vision Proで開くだけで全方位の映像が広がる。これは実に迫力があるぞ。首を回せばその場にいるような気分になれるからの。
……もっとも、360度カメラだと「自分の目で見た景色」に、本来見えないはずの「自分の顔」が写り込んでおる。映画の回想シーンで本人が画面に映っているような違和感を、お主も感じたことはないじゃろうか? おっと、また横道に逸れたな。この話はまた別の機会にしよう。

さて、APMPが出ないので、儂は別の方法で表示できないか試行錯誤してみた。すると、「H.264 4:2:0 8-bit / MP4 / VR180」という従来形式で書き出し、Apple Vision Proに転送してみたところ……。
「Apple Vision Pro用にビデオを変換中」という表示が出て、しばらく待つとイマーシブ表示ができたのじゃ!

これが結構時間かかるのじゃよ。
再生直後は平面画像じゃが、左上のアイコンをタップすれば没入モードに切り替わるぞ。

「なんじゃ、APMPじゃなくても観られるではないか!」と拍子抜けしたわい。つまり、Apple Vision Pro側が頑張って変換処理をしてくれておったわけじゃな。
10月まで待たずとも観られた事実に気づき、少々複雑な心境になったが、それ以上に気になったのが「画質の粗さ」じゃ。
「これはAPMP形式じゃないせいか?」と期待したが、実はそれが大きな間違いだということに、この後気づくことになる……。

その後、11月になっても一向にアップデートの気配がない。
「流石におかしい」と思った儂は、11月19〜21日に開催された映像制作の祭典「InterBEE」のキヤノンブースへ乗り込み、VR担当者を捕まえて直接聞いてみたのじゃ。

すると担当者は、「お使いのバージョンは既にAPMPに対応しているはずです。表示されないのはおかしい」と言うではないか。
儂は一旦ブースを離れ、会場外の椅子に腰掛けてアプリを一度削除し、再インストールを試みた。すると……。
なんと、APMPが選択肢にひょっこり現れたのじゃ!

慌ててブースに戻って報告したが、担当者も原因は分からぬとのこと。どうやら儂には、妙な「試練の女神」が憑いているようじゃな。美人なら許すのじゃがの。

ともあれ、APMP出力ができるようになって、Apple Vision Pro側の変換待ちが不要になり、実にお利口になったぞ。
……しかし、肝心の「画質」の方は、APMPになっても一向に良くならん。

次回は、画質が粗いと感じた件について、その背景を詳しく話すぞ。EOS VR Utilityに搭載された「ニューラルネットワークアップスケーリング」を試して分かったことや、現時点での技術的な限界についても触れるつもりじゃ。

イマーシブビデオの画質を左右するものは一体何なのか……。儂なりの考察をまとめるので、楽しみにしておいておくれ。

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